ミステリとジャズ

研究室に避難して仕事。
田中啓文「落下する緑　永見緋太郎の事件簿」。「ミステリとジャズをこよなく愛す」といったありがちのプロフィールに、それなら一緒にしてやろうじゃないのと思ったかどうかは知らないが、これは天才テナーサックスプレイヤーが探偵役のミステリ。えー、なんですな、当節なんでも探偵になるようで。楽器が盗まれたり、トランペット奏者の失踪を追ったり、いわゆる「日常の謎」ものだが、演奏場面やジャズメン（恥ずかし）のやりとりが滅法おもしろい。惜しむらくはトリックやプロットの重複があることだが、これはそういうミステリじゃないのだろう、と思えば腹も立たない。スタンダード聞いて同じ曲じゃないか、と怒る人はいないものね。ちょっと違うか。ともかくお勧め。