風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

2019-05-01から1日間の記事一覧

三村 尚央 「『充たされざる者』をシティズンシップ小説として読み解く」 『カズオ・イシグロの視線 記憶・想像・郷愁』共著(作品者,2018年)書評

この評論集の目次を一瞥して、評者は驚きと戸惑いを禁じ得なかった。なぜなら、著者が論じているのが『充たされざる者』だったからである。もちろん、評者はイシグロの研究者ではないが、小説家としてのカズオ・イシグロの一ファンであり、少なくとも全作品…