風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

勤労感謝の日とニート

勤労感謝の日。新聞(特に名を秘す)の社説はこんなだった。以下、長くなるけど引用。

(前略)
さて勤労感謝の日。「勤労を尊び、生産を祝い、国民互いに感謝し合う」という趣旨が、どれだけ理解されているのだろうか。昨今、勤労どころか職にも就かず、学生でもなく、求職活動もしない「ニート」と呼ばれる社会不参加型の若者が増えた。全国で八十万人という。大都市一つ分の人工規模だ。
二十年以上も前「ニートな午後三時」という歌が、化粧品のCMソングとなり、話題になった。そして多くが「ニートって何」と思った。多分、これが「ニート」という言葉が使われた嚆矢(こうし)だろう。それが、今では「ニート」は社会問題となっている。
人はそれぞれに生き方があり、尊重されるべきだとは思う。が、家族や社会のために汗を流し、生産する喜びと感謝の心を分かち合うことが大切ではないだろうか。
新嘗祭は翌年の豊作をも願っている。実り多かれと額に汗する人間には「ニート」は理解の外だろう。

・・・いくらなんでもあんまりメチャクチャ。
ニートな午前三時」って聞いたことないけど、20年以上前ってことは、どう考えてもそっちの「ニート」(NEET=Not currently engaged in Employment, Education or Training)じゃなくて、形容詞の「ニート」(neat=すっきりした、気持ちのいい)っていう意味でしょう。ちょっと調べれば、英国の教育雇用訓練省が2000年に発表した報告書で、NEETという言葉が初めて使われたことも分かるはずなのに。
許し難いのは、そんな適当な調査しかせずに(というかただの思いつき)、安直に「ニート」を持ち出してきて、勤労感謝の日と結びつける嫌らしさ。これ読んで、「そうだ。やっぱりあいつはこのままじゃいかん」「お父さん、そっとしてあげてくださいな。あの子にはあの子の考えがあるんですから」「いや、今日はとことん話し合うぞ。おい、いつまで寝てるんだ」みたいな流れになって、祭日が台無しになった家庭があったりしたら責任取れるのか?

ムカムカしながら研究室でお仕事。8時過ぎまでかかってようやく完成。あー、疲れた。