風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

風のクオリア

金曜日の振替授業、授業、ワークステーション。成績集計でエクセル使いまくり。
茂木健一郎「脳と仮想」。数量化できない微妙な物質の質感=クオリアをキーワードに、小林秀雄漱石、ワグナーなどを読み解くエッセイ。文学によって得られる感動は、つまるところ脳内物質の変化によるものだという常識(?)に対して、いやいやそれだけでは説明できない心の領域がクオリアなのですよ、という理解でよろしいか。だとすると、一周まわって戻ってきただけのような。実際、脳に関する考察を引くと(そこがミソなんだが)、後に残るのはきわめてまっとうな文学エッセイ。「文学ってなんの役に立つの?」と言われ続けた(僕もさんざん言われた)文学関係の人が、最先端の科学者に取り上げられて喜ぶ気持ちは分からなくもないが、それってバルトのプロレスに関する論考を心の拠り所にするプロレスファンのようでやっぱり悲しい。いいじゃん、プロレスが好きならそれで。
脳と仮想
いろいろとおもしろくないことがあったので、ふて寝する。