風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

走るときに語るときに僕の語ること

「大学英語入門」最終日。登録時には40名近くいた学生も最後まで残ったのはわずか4名。アンケートで「文法が分かりやすかった。今までで一番分かりやすかった」というコメントがあり、なんだか救われた気分になる。
村上春樹「走るときに語るときに僕の語ること」。おそらく2ヶ月前であれば読まなかっただろうが、今なら多少の共感を持って読むことができる(フルマラソンWii Fitを比べるなという話もありますが)。やはり小説家には無頼派であって欲しいという願望がどこかに根強くあるのだが、小説を書く上での「規律」としてフィジカルな面も決して軽視できないことを確認。筆者も書いてあるように、「走ること」を媒介としたメモワールになっていて、あまり自分のことを語りたがらない作者だけに、これもまた興味深い。例えば「アンダーグラウンド」以後の社会的コミットメントのように、フルマラソンに挑戦することが後期作品の変化に繋がっていると考えていたのだが、実は「羊をめぐる冒険」から走り続けていたと知って、今までの解釈がガラガラと音を立てて崩れた。見誤ったぜ。
走ることについて語るときに僕の語ること