風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

人もいない春

10月も終わり。なんとか復帰して1ヶ月はクリアした。自分で自分を褒めてやる。授業のテキストの内容が映画だったので、ついつい北野武映画について熱く語ってしまった(当然ながら誰も観ていなかった)。そういえば、『アウトレイジ2』、もうすぐだな。みんな死んじゃって終わったけど、どうやって続編になるんだろう。

人もいない春 (角川文庫)

人もいない春 (角川文庫)


お馴染み北町貫太ものだけではなく、実験的な作品も入っている短編集。定期的に西村貫太を読むのは、精神衛生上とてもよろしい。と言っても、と言っても、自分がセーフティゾーンにいることを確認して安堵するのではなく、いまの自分もいつこうなってもおかしくない、と肝に銘じるためだ(だから、著作は買い揃えてはいるけれど、ちょっとづつしか読まない)。この短編集では、ようやく貫太にも同棲相手が見つかり、その生活が描かれるのだが、そうそう人間が変わる訳もなく、最初は甲斐甲斐しく尽くしているが、最後にはキレてしまうという王道(?)パターン。中でも相手のトラウマを利用して、非道い意趣返しをする「赤い脳漿」が最高、そして最低。しかし、別に代償行為で読んでいるわけではないが、ここまでやってフェミニズムの人たちとかは、何にも言わないのだろうか。猛反対くらって読めなくなったら悲しいが、私小説ならDVでもなんでもあっていいのだろうか、ちょっと不思議になる。