風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

『増補新版 中島らも』

6時半起床。朝から授業×2。今日はイギリス人の紅茶好きについて。あっという間に1日が過ぎてしまい、子供たちのお迎え。新しくローソンが出来ていたのを発見したので連れて行く。ポイントで「ドラゴンボウル」なる茶碗と交換。ローソンではスタンプラリーをよくやっていて、大抵スタンプを4つ集めるのだが、これで4店舗が集中してあることになり、効率よく回れることになってなにより。

増補新版 中島らも (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

増補新版 中島らも (文藝別冊/KAWADE夢ムック)


前に紹介したような気もするが(そして読んだような気もするが)、増補新版になっていたので購入。やはり人は(少なくとも僕は)中島らもに還る。「ベストエッセイ20」は、もう繰り返し読んだものばかりだが、今回は「サヨナラにサヨナラ」の一説がぐっときた。中島らもが遺した文章の中でも最も美しいものだろう。ちょっと長いが引用してみる。

たとえば我々は太陽を見るが、それは厳密に言えば今から8分前の太陽の姿である。遠い丘の上で恋人がこっちに向かって手をふっているのが見える。その丘が1キロメートル向こうだとすると、その恋人の姿は光速の「29万9000キロメートル分の1秒前」の姿である。海外へ電話をすると、相手の答えがほんの少しの間合いでずれるが、あれをもっともっと微細にしたようなことが視覚の世界でも起こっているわけだ。たとえ僕の目の前のテーブル越しに、愛する人が笑っていたとしても、それは「無限分の1秒」過去の笑顔なのである。 人間の実相は刻々と変わっていく。だから肝心なのは、想う相手をいつでも腕の中に抱きしめていることだ。ぴたりと寄りそって、完全に同じ瞬間を一緒に生きていくことだ。二本の腕はそのためにあるのであって、決して遠くからサヨナラの手をふるためにあるのではない。

その他にも読みどころは満載だが、追悼文の中でも「もう誰も酒を飲むな」の怒り(中島らもに酒を飲ませた編集者への)がすさまじい。ついでに「いいんだぜ」が聴きたくなったので、動画も検索してみた。差別的な表現が含まれているのでご注意ください(それでもピーピー言ってますので、完全版は検索してみてください)。

それにしてもMCからよれよれ。ステージでも酒を飲んでるし。