風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

『寒灯』

7時起床。今日は月曜日振替授業で、ラーニングアドバイザーのみ。娘が気分が悪いというので、妻が休みを取って病院に。せっかくの授業参観日だったのだが。なかなか本を読む気にならないので、読書スケジュールを崩して、とりあえず読みたい本から読むことにする。

寒灯

寒灯


芥川賞受賞後第一作作品集。と言っても、西村賢太は何も変わらない。相変わらずキレて同棲している女性にDV行為。芥川賞の候補になった時は「前回と同じ内容」と言われたらしいが、それがいいんじゃないか。しかし、よくこれだけキレるネタがあるものだと感心するが、「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」の言葉が、その後の展開を知っているだけに空しく響く(いや、その時は本心で言っていたのだろうが)。同棲初期の作品に混じって、作家となってから別れの予感の時期を回顧する「腐泥の果実」がとりわけ感慨深い。