風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

辛い飴

病院。順番待ちしている時に保育園から電話。また息子が熱を出したらしい。こういう時に限って診察まで時間がかかるもので、結局2時間遅れて到着。思い切り嫌味を言われる。

辛い飴 (永見緋太郎の事件簿) (創元推理文庫)

辛い飴 (永見緋太郎の事件簿) (創元推理文庫)


ジャズマン永見緋太郎の事件簿の2作目。ハードカバーが出ていたのを知らなかったので、なんだか得した気分。「サルまん」を挙げるまでもなく、「音楽」を小説や漫画に取り入れるのは極めて難しい。その点、この作品は豊富な知識に支えられたジャズの演奏場面が全く違和感なく取り入れられている稀有な例。帯で菊地成孔が言っているように全く「恥ずかしくない」のだ。表題作「辛い飴」は、その圧倒的な演奏の描写が、同時に探偵行為にもなっているという、とんでもなく素晴らしい発想に支えられた作品。参考レコードのどれも聴いてみたくなって困る。