探偵法間ごますり事件簿
今日は妻が土曜出勤だというので、『カラマーゾフの兄弟』は頓挫。ちょっと仕事が残っていたので、娘を連れて研究室に。2時間ほど作業しただろうか、娘の感想は「つまんない」。僕は、その「つまんない」研究室で、毎日働いてるんだよ。それでも、行き帰りにあまりに時間がかかることから「大変だねえ」と変な関心をされた。
- 作者: 東直己
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/07/18
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東直己の新作は絶対に買わなければならない。それがルール。今回は少し肩の力の抜けたユーモア・ハードボイルド(?)連作集。私立探偵法間(のりま=ホウカン=幇間)が、依頼者から関係者から犯人まで、褒めて褒めて褒めちぎる。たぶん、落語から発想したのだと思うが(登場人物が「時そば」を連想するシーンがある)、それだけではいままでもあったかもしれない。個人的に一番面白かったのが、法間がやたら(僕なんかの全く知らない)ブランド物に詳しくて、人目でそれと見破ってヨイショするパターン。
「おお! 素晴らしい!その時計、それはフレッドの時計ですね、フランスの! いや素晴らしい、太田さんがモレスキー、ママがフレッド。いやぁ、趣味の良さは、こういうところに、はっきりと出るんですなぁ!」
「あら、いやだわ。でも、よくおわかりになるのね」
「そりゃぁ、もう!」
それに、どうだ、勇気を出して、一発、ダメ元で吹っかけるか!
「それに、そのスエットは、ヴァレンティノ・ガラヴァーニではありませんか?」
「あら! どうしてわかるの?」
作者もこのギャグは気に入ったと見えて、毎回いろんな形で登場するのが楽しい。一方で、「時カクテル」のような『探偵はバーにいる』作者ならではの、バーにまつわるしんみりしたいい話も入っている。続編、希望。
- 作者: 東直己
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/09/22
- メディア: 単行本
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お休み中にこれも読んでた。いつもと同じといえば同じ。「俺」がススキノを駆けずり回って、あちこちで軽蔑されて、たまに危険な目に遭って、それがハードボイルドなんだから仕方がない。