風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

「昔はワルだった」と自慢するバカ

朝起きて、明らかにテンションが上がっているのが分かる。学会で刺激を受けて、猛然と研究意欲が湧いてきて、あれも書こう、これも書こう、と家族がまだ寝ている中、あれやこれやとメモを付ける。どうもまずい傾向だ。出勤してからも、事務の人がまだ来てないのに、旅費の申請の準備をしようとしたり、科研の申請をしようとしてみたり。結局、学内サイトのアクセス方法を忘れていて、全くの空回りだった。ともかく落ち着け、俺。それから歯医者。もはや治療と言うよりも工事。根元で折れていた前歯を抜かれてしまい、これで合計3本なくなったことになる。仮歯を作っている途中でトイレに行って、鏡で自分の顔を見たら、さすがにショックだった。

「昔はワルだった」と自慢するバカ (ベスト新書)

「昔はワルだった」と自慢するバカ (ベスト新書)


毀誉褒貶ある著者だが(いや、褒められることはほとんどないか)、僕は割と好んで読んでいる。時々マニアック過ぎて付いていけないことはあるが、新書で出すものはどれも面白くて為になる。あえて擁護しようとするなれば、1.読むべきものをちゃんと読んでいる、2.文章が明確で読みやすい、3.審美眼も正確である(ように思える)、4.自分の俗な欲望を隠そうとしない、ということで、これで人格の問題がなければ、素晴らしい著述家(いや、研究者なのだが)と言えると思う。もっと言うならば、小説も下手ではあるが、大学や研究をめぐる状況を描く、なかなかないタイプの私小説で、これも興味深く読める。問題は、大学の先生になれない(たぶん、もうなれないだろう)ことが、ずっと引っかかっていて、「お前ら、大学にいるくせになにしてんねん?」(なぜか関西弁)というルサンチマンが、ああいういろんなトラブルを起こす要因になっていることだ。と書いてから、自分も大学側に属する人間だと気づいたのだが、たぶん小谷野敦が標的にしているのは、東大や京大、それから有名私立の専門の学者だろうから、たぶん問題はないだろう。逆に言えば、呑気な地方大学の英語教師だから、こうやって小谷野敦を楽しく読めるのかも知れない。たぶん、この話続く。