風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

邪神金融道

繁忙期だったのでお休みしていましたが、またぼちぼちと再開します。
朝から寒い。暴風雨で午前の授業は休講。病院に行ってから出勤。出産を終えた妹が無事に帰宅したとのメール。今度も女の子で、娘は「また面倒をみなきゃ」と張り切っている。

邪神金融道 (The Cthulhu Mythos Files)

邪神金融道 (The Cthulhu Mythos Files)


菊池秀行という作家は、もっとメジャーになってもいい存在だと思うのだが、職人気質というかマニアックというか、ひたすら頑固にシリーズものを書き継いでいる様子(その中には『エイリアン秘宝街』のような大傑作もある)。そこそこ売れてはいるのだろうが、このへん似ているようで夢枕獏とは対照的である。この作品はクトゥルー神話と金貸しという全く関係のないものを組み合わせで、一般読者にも読みやすくなっているところがミソ。特に主人公が邪神の存在を特撮だと断じ、数々の怪奇現象に接しても恐れを抱かないギャップが面白い。クトゥルー神話と言えば、栗本薫の『魔界水滸伝』(これも未完に終わった)なんかを学生時代に熱心に読んだ覚えがあるが、まだ本国でも新作が発表されていたりするのだろうか。もしアメリカ文学が専攻で、なにをやってもいいと言われたら、研究対象にしても楽しそうだけど、本気で相手にはされないだろうな。