風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

どうで死ぬ身の一踊り

朝から大雪。1限がある日に降らなくてもよさそうなもんだが。授業×2、英語連絡会。中海大橋の山越えでひやひやしながら早めに帰宅。子どもを迎えに行くついでに、風太のトイレの砂がなくなったのと、週末の片付け用にゴミ袋を補給。その後、本の整理をしたり、階段下の段ボールをゴミに出したり、細々とした家事に没頭して、ささくれ立った心を落ち着ける。

どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)

どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)


再読。家が揉めた時は、現実逃避かも知れないが、やはり私小説、それも西村賢太に限る。この短編集では、没後弟子を名乗っている(この発想が既に狂っているが)藤澤凊造への傾倒が色濃く前景化された作品が収録されている。私財をなげうって全集刊行を目指すのはともかく、墓標を復元して自宅に持ち帰る辺りから、およそまともでないものを感じて慄然とする。相変わらず、定職もなく同棲相手にはキレて暴力をふるうロクデナシだが、この藤澤凊造に対する情熱だけが「私」を支えている。「苦役列車」から現在に至る過程のどこかでその出会いがあったはずだが、そのエピソードはいまのところ書かれていないので、これからの楽しみにしたい。ついでになるが、「私は最近の日本文学を殆ど読まない」という坪内祐三の解説は見事。そうなのだ、「西村賢太の小説は不思議にあと味が悪くない」のだ。
犬は吠えるがキャラバンは進む

犬は吠えるがキャラバンは進む


「片付けの魔法」によれば、片付けの時には音楽を流さずに、「空気感」を大切にしましょうと書いてあったが(この本にはこういうトンデモ理論がよく出てくる)、音楽でもかけてないと退屈でやってられない。温故知新。ソロになって一作目の作品だが、自然体で力が入りすぎてないところがよい。そういえば、妻がオザケンアメリカ人女性と結婚したとか言ってたな。病床の桜沢エリカ岡崎京子の間違い)も心待ちにしているらしいし、これを機にやる気を起こして早く新作が出ないかな。