風大丸亭日乗

元大学教員、双極性障害、本と音楽と映画、そして毎日は続く

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

6時半起床。息子を送って出勤。教室に着いてから、テキストを家に忘れて来たことに気づく。仕方がないので研究室にあった審査用見本を取ってきて授業×2.午後から会議ひとつ。やれやれ、これでタフな1週間が終わった。帰ってから娘とピクミンをちょっとやって寝る。

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年


ちびちび味わいながらようやく読了。いまこの瞬間にも同じ本を何千人(何万人?)の人が読んでいると思うと不思議な気になる。あまり評判はあまりよくないようだが、「小説」としては格段に上達している(もちろん書こうと思えばいつでも書けたんだろうけど。あくまでも形式の問題)。登場人物に固有名と性格が与えられて、きちんと書き分けられている。最初は「ミステリ?」と思っていたら、どんどんミステリになっていったのも驚いた。なにより主人公の「冷静でいつもクールに自分のペースを守る多崎つくるくん」が、いつもの村上春樹ではなく「情熱」を持って人生に向きあう姿勢に心を揺さぶられた。そして最後には、いままで決して書かれることのなかった「××」のテーマが出てきたのも感動的。いろいろ欠点はあるかも知れないけど、「好き」ということで言えば、これはとても好きな小説。『ノルウェイの森』の次くらいに。